ある日、次男と出かけたときのこと。
片足のない方を見かけた瞬間、次男が大きな声で言いました。
「あー!足がない人いるー!」
間違ってることを言ってるわけじゃない。
でも、相手がどう感じるかを考えると、胸が少しザワっとしました。
とっさに「そういうこと言っちゃダメ!」と叱るのではなく、
「大きい声で言わない」とその場で伝えて、
見えなくなってから、ゆっくり話すことにしました。
この記事の目次
子どもは「違い」にまっすぐ気づく生きもの
幼い子どもは、見たこと・感じたことをそのまま言葉にします。
「足がない」「髪がない」「目が見えない」
――それは観察力がある証拠で、悪気はありません。
けれど、その“正直さ”が誰かを傷つけることもあります。
だからこそ、親が「気づきをどう言葉にするか」を教えてあげる機会にできます。
否定ではなく、「思いやり」を教えるチャンスに
私が次男に伝えたのは、こんな言葉でした。
だから、大きな声で言ったり指さしたりはしないようにしよう。」
“悪いことをした”と教えるのではなく、 “人の気持ちを想像する練習”として伝える。
それが、小さな「思いやり」を育てる一歩になると感じました。
子どもへの伝え方に、先生から学んだこと
この投稿をきっかけに、教員の方からこんな言葉をいただきました。
「3秒で変えられないことは、相手に言うもんじゃない」
「襟が曲がってるよ」――これはすぐ直せる。
でも「背が小さいね」はすぐには変えられない。
“どうしようもないこと”をわざわざ言う必要はない。
この考え方、すごく腑に落ちました。
叱るでもなく、やさしく「何を伝えたいのか」を考えさせる視点。
まさに、思いやりを育てる言葉ですよね。
さらにその先生は、悪意を持って発言する子には
「それ相手に言って、相手にどうして欲しいの?そこまで考えて言ってるの?」
と伝えるそうです。
少し厳しく聞こえるけれど、“言葉の責任”を実感させる、とても大事な問いかけだと思いました。
その先生の言葉をきっかけに、家でも“違い”をどう伝えるかを考えました。
家庭でできる「いろんな人がいる」を伝える習慣
子どもに“多様性”を教えるのは特別なことじゃありません。
日常の中で、こんな声かけを意識してみるだけでも十分です。
- 「いろんな人がいるね」
- 「髪がある人もない人もいるよね」
- 「できることがちがっても、みんなすごいね」
絵本を通して話すのもおすすめです。
キャラクターの違いを話題にしたり、「この子はどんな気持ちかな?」と聞くだけでも、子どもは自然と“他者を想像する力”を育てていきます。
おすすめの絵本
こで読んだのが『みえるとかみえないとか』(ヨシタケシンスケさん)。
“見える世界”と“見えない世界”、
お互いの立場を想像することの大切さが、とてもわかりやすく描かれています。
次男と一緒に読む中で、「自分とは違う人もいるんだね」という会話が自然に生まれました。
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そして、もう1冊印象に残ったのが、
「どんなかんじかなあ」
そんな問いから始まるこの絵本は、見える人が“見えない世界”を想像してみるお話です。
音の感じ方、空気の匂い、手のひらで感じる形。
“見えない世界”には、見える世界とはちがう豊かさがあることを教えてくれます。
「みえるとかみえないとか」と同じく、“違いを知ること”をやさしく描いた1冊。
子どもと一緒に読むと、「自分とちがう人の立場を想像する」時間が生まれます。
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親だって完璧じゃなくていい
正直、あのとき私も少し戸惑いました。「これが正解なのかな」と迷いながらの対応でした。
でも、大切なのは“完璧な言葉を選ぶこと”より、“子どもと一緒に考える姿勢”だと思うんです。
子どもが「なぜ?」「どうして?」と感じた瞬間に、一緒に立ち止まって、考えて、対話を積み重ねていく。
それが、優しさと想像力を育てる家庭教育の形なんだと思います。
今回のテーマについては、Threadsでもたくさんのコメントをいただきました。
特に教員の方々からの視点がとても参考になります。
現場の先生や保護者の方のリアルな意見を読むと、「子どもへの伝え方」にいろんな形があることを実感します。
まとめ
子どもが見たままを言葉にしたとき、それは「人と違うことに気づく力」が芽生えた瞬間。
そこに「思いやりの視点」をそっと添えてあげるだけで、その子の世界は少し広がります。
正解がないからこそ、親の言葉が、子どもの心の地図を作っていくんですね。