仕事のし過ぎが過労死の原因になる?過労死の前兆をチェック!

ここ最近注目を集めているのが「過労死」。頑張って働いて、最後には過労死。働き過ぎて過労死の一歩手前という人も少なくないのではないでしょうか。
過労死は突然死と言われていますが、実は前兆があったりします。自分は大丈夫と思っていても、危険な場合だってあります。
頑張ることは大切です。しかし、自分の体・人生が一番大事です。働き過ぎて人生を棒に振ることは避けたいですよね。
そこで、今回は「過労死」について詳しくみていきたいと思います。
この記事の目次
過労死とは
過労死とは、長時間の残業や休日なしの仕事が原因で死亡することを言います。そして、過労死には、種類が二つあります。
1.心疾患や脳疾患による突然死
2.精神的なものによる自殺(過労自殺)
に分けられます。
過労死の原因
働き過ぎている環境が続くと、睡眠時間が不足し、疲労が蓄積されていきます。
休息や休日を取れず、心身共に疲労が続く状態の中、更に仕事のノルマやプレッシャーが与えるストレスが、身体に異変をもたらします。
人の体は過度なストレスから心身を守るために ホルモンを分泌して、血圧を上昇させますが、血圧が上昇すると、心拍数が増え、心臓の収縮を促し、これが継続すると、脳や心臓に負担がかかってしまいます。
また、ストレスは自律神経のバランスも崩します。通常、リラックスした状態では血圧が下がり、緊張状態になると血圧が上がりますが、ストレスが強いと、常に緊張状態を引き起こし、血圧が高い状態が続いてしまいます。
心疾患・脳疾患による過労死
疲労やストレスが心臓や脳に負担を与え、それが続くとダメージが蓄積し、心筋梗塞や虚血性心疾患、脳梗塞や脳出血などを引き起こしてしまいます。
過労自殺
本来であれば、疲労は食事や睡眠で回復するものですが、過酷な労働が続き疲労が蓄積されると、睡眠等では回復できなくなります。
そして、不眠症によって睡眠時間が足りなくなり、心の疲れがそのままになることで精神疾患を患い、結果的に自殺に至ってしまいます。
ただ、「労働時間の長さ=自殺の危険性」というわけではなく、人によってストレス耐性も違ってくるという点が大事です。月80時間の残業でも平気な人もいれば、月30時間の残業でも心がぽっきり折れてしまう人もいるのです。
また、仕事をしていない時間のオフ時間の使い方も重要になります。
厚生労働省の平成28年版過労死等防止対策白書によると、睡眠時間が足りない理由として1番目に「残業時間が長いため」が36.1%と高いですが、この他にも「家事労働時間」「通勤時間」も一定の割合を占めています。(以下のグラフ参照)
驚き!過労死の件数
厚生労働省による、平成26年度「過労死等の労災補償状況」をみてみると、脳・心臓血管は前年度と比べると、やや低下しているのに対し、精神障害による自殺は、増加し過去最多となっていることが分かりました。(以下のグラフ参照)
■脳・心臓血管による過労死
■精神障害による過労死
毎年約500人もの人が過労死していることが分かります。また、過労死までいかなくとも、脳・心臓疾患を患った人は、平成26年度637人(毎年700人前後)、精神障害を患った人は、平成26年度1307人(毎年1200人前後)もいるのです。
さらに、時間外労働時間数で見た場合、精神障害を患う労働時間には、20時間未満が最も多いですが、脳・心疾患を患った人は、80時間以上100時間以上が最も多いということが分かりました。
つまり、労働時間が長ければ長いほど、身体的な負担は大きく、精神的な負担は時間外労働と比例しないことが分かりますね。
■脳・心臓疾患の時間外労働時間数
時間外労働時間 | 平成26年度 | うち死亡 |
45時間未満 | 0 | 0 |
45時間以上~60時間未満 | 0 | 0 |
60時間以上~80時間未満 | 20 | 10 |
80時間以上~100時間未満 | 105 | 50 |
100時間以上~120時間未満 | 66 | 27 |
120時間以上~140時間未満 | 23 | 7 |
140時間以上~160時間未満 | 20 | 8 |
■精神障害のの時間外労働時間数
時間外労働時間 | 平成26年度 | うち死亡 |
20時間未満 | 118 | 7 |
20時間以上~40時間未満 | 37 | 12 |
40時間以上~60時間未満 | 34 | 6 |
60時間以上~80時間未満 | 18 | 8 |
80時間以上~100時間未満 | 27 | 11 |
100時間以上~120時間未満 | 50 | 14 |
120時間以上~140時間未満 | 36 | 5 |
140時間以上~160時間未満 | 21 | 5 |
160時間以上 | 67 | 26 |
過労死の前兆
過労死が多くみられる残業時間は80時間以上働いた場合が多いように思いますが、実は過労死ラインというものがあり、月の残業時間が80時間を超えると過労死の危険性が高まるとされています。
月に20日出勤とすると、1日4時間以上の残業・12時間労働をしていると、残業時間が80時間を超えてしまいます。
労働基準法では、原則として労働時間は1日8時間、週40時間以内でなければならないと定めています。
また、休日については1週間に1日、あるいは4週で4日以上が必要と定めています。しかし、ほとんどのすべての会社では、残業は行われているのが現状です。
過労死や体の異常は労災認定や慰謝料請求も可能で、労働時間が長いということは正規の残業代が支払われておらず請求できる可能性も高いと言います。
そのため、自分自身で過労死の前兆を知っておく必要があります。特に残業時間が長い人は注意が必要です。
過労死ラインを満たしていなくても、働いている環境などにより精神障害を患ってしまう場合もあるので、前兆がでていないか確認するようにしてください。
心疾患
- 胸が痛い
- 胸が締め付けられるような感じがする
- 動悸や息切れが起こる
- 上腕部・肩・首・顎・腹部に痛みがある(関連痛)
これらの症状がある人は要注意です。元々、高血圧や不整脈などがある人は突然死につながる危険性が高いです。
脳疾患
- ろれつが回らない
- 片側の手足がうまく動かない、しびれる
- 目の焦点が合わない
- 物が二重・三重に見える
- 視野が狭くなる
- 細かい作業がしづらくなる
- 原因不明の頭痛や肩こりが突然現れた
これらの症状がある人は脳になんらかの異常がある可能性があります。
早期に対処することで重症化を未然に防ぐことも可能なので、何かおかしいなと思ったらすぐ病院に受診しましょう。
精神障害
- 体がだるく、疲れがとれない
- 疲れているはずなのに寝れない
- 熟睡できない
- やる気がでない
- ぼーっとする時間が増える
- 胃が痛い
- 耳鳴りや難聴
精神障害は、いろんな形で体に現れます。
しかし、一番の原因は「疲労」です。過労死する人のほとんどは、その直前までストレスを感じておらず、死に至るほど「疲れている」という自覚症状がありません。
過労死する人のほとんどは、過酷な状況に慣れてしまっているのです。上記の症状がある場合は、精神的にかなりの負担がかかっています。
過労死を未然に防ぐためには
毎年500人ほど、過労死をしているという過酷な労働環境がある中、疲労は確実に心や身体に蓄積しています。その疲労が、精神的・身体的負担になり、「死」という形となって表れてしまいます。自分の人生を守るのは自分です。
病院に行こう
定期検診は必ず受診し、何かに引っかかればきちんと検査してもらいましょう。自分で気づいていない場合でも、定期検診で発見されることも少なくありません。
また、上記に挙げた過労死の前兆に当てはまっていると感じた場合も早急に病院を受診することをおすすめします。
放置していても良くなりません。重症化する前に早期発見することが望ましいのです。
十分に休息をとろう
独立行政法人労働政策研究・研修機構「年次有給休暇の取得に関する調査」(平成 23 年)による、年次有給休暇と労働時間との関係では、週労働時間が長いほど、年次有給休暇の取得率は低い傾向にあります。
また、正社員の約 16%が年次有給休暇を1日も取得しておらず、週労働時間が60時間以上の労働者では 27.7%が年次有給休暇を1日も取得していないのです。
これでは、十分な休息もとれませんよね。
働きすぎだと感じている人は、できる限り労働時間を減らすようにしましょう。まず、疲労を取り除かなければなりません。
労働時間以外にも、オフの時間を忙しくしている人もオフの時間も重要です。ストレス・疲労が過労の原因になるので、これらを取り除くため、休息をするようにしましょう。
また、自分の家族が過酷な労働環境にある場合、本人が「大丈夫」と言っていても、疲労により、脳の機能低下が起こり、自分自身で疲労を感じていないケースもあるので、そういった場合は、不用意に応援せず、強制的にでも休息を取らせるようにしましょう。
逃げるのも一つの手段
人間には限界があってそれは人によって違いがあります。精神的なストレス耐性も個人差があります。
同じ仕事環境でも、感じるストレスや限界には違いがでるのです。自分の体力やストレス耐性で、無理な仕事であれば、その環境から「逃げ出す」勇気を持つことも大事です。
過労から逃げ出すということは、自分を守る上で大切な行動です。
まとめ
生活をしていく上で、働くということは非常に重要です。しかし、働き過ぎが原因で体を壊し、過労死に至ってしまっては元も子もありません。
まずは、自分の体・健康が大事です。自分自身の労働環境を見つめなおし、働き過ぎではないか確認しましょう。働き過ぎの場合は、過労の前兆がないかしっかり確認してください。
早め早めの対処が、過労死を未然に防ぐ第一歩です。