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酸素療法とは?種類や目的別に応じた使い分けは?

 2017/09/18 看護師
この記事は約 10 分で読めます。 603 Views
酸素療法

看護師として働いていく中で、最も多く目にすることが多いであろう、酸素療法。ドラマでもよく目にすることと思います。酸素療法といってもいろいろありますが、VSの項目にあるSPO2が低ければ酸素療法を開始しますよね。そんな時、いろいろある酸素療法の中でどれを使用しましょう。

初めて酸素療法をするとなったら、どれを使うのが正解なのかが分かりません。そこで今回は「酸素療法」についてみていきたいと思います。

 

酸素療法とは?

酸素療法

酸素療法とは、体内の酸素が少ない場合(低酸素状態)に、体内に適量な酸素を投与する治療法のことをいいます。

 

酸素療法の目的

酸素投与で低酸素血症を改善して、組織への酸素供給を増加させることを目的としています。酸素療法を行うことによって、以下の効果が期待できます。

①呼吸仕事量の軽減
酸素化には、吸入酸素濃度や換気が関与している。低酸素血症では血中の酸素分圧を上げようと換気量が増加し呼吸仕事量が増えるため酸素を投与する

②心筋仕事量の軽減
低酸素血症が生じると生体は末梢へ供給する酸素を維持しようと心拍出量を増加することで代償する。また、右心負荷もかかりやすいため適切な酸素化を保つ必要がある。

 

酸素療法の適応

  • 動脈血ガス分析の結果、低酸素が疑われる場合(室内気にてPaO2<60mmHgまたはSaO2<90%)
  • 低酸素血症が疑われる場合
  • 不整脈、心筋梗塞、心不全などの心拍出量低下に伴う循環不全により呼吸状態が不安定な場合
  • 貧血、外傷や手術に伴う出血など血液の酸素運搬能力の低下が疑われる場合

酸素療法は上記の場合に開始されます。看護師の目から見て以下の状態であれば酸素療法を開始を考慮しましょう。

  • 口唇や末梢のチアノーゼがでている
  • SPO2が90%以下、もしくは医師の指示の%以下になった場合
  • 呼吸回数上昇
  • 努力呼吸になっているなど呼吸パターンの変化がある場合

これらの変化が起きていれば、低酸素状態にある可能性が高いです。明らかに目に見えて低酸素の場合は酸素療法を開始しましょう。自分だけでは判断できない場合は、医師に動脈血ガス分析を依頼してから、酸素療法を開始しましょう。

 

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酸素療法の種類は?

酸素療法

酸素療法を開始するにあたって、適切に酸素療法の種類を選択しなければなりません。そのためには、酸素器具の特性を知っておく必要があります。酸素療法は低流量と高流量に分けられます。

低流量のものは、侵襲度が低い一般的な酸素供給方法のことをいい、酸素と一緒に鼻周囲の空気も一緒に吸入する器具です。 対して、高流量のものは酸素供給流量を患者吸気流量よりも高く設定するので、大気の混入がなく、患者の換気状態が変化しても設定したFiO2を維持できます。

 

鼻カニューレ(カヌラ)

酸素流量が6L/分以上の投与は推奨されていません。それ以上になると、酸素ガスによる鼻粘膜の乾燥を生じることや吸入酸素濃度の上昇もみられないためです。

【メリット】
・最も簡便で、苦痛や負担が少ない
・酸素供給しながら会話や経口摂取が可能

【デメリット】
・鼻が乾燥する
・酸素量が増加すると不快になる
・口呼吸や鼻閉塞時には向かない

カヌラの酸素流量に対するFiO2の期待値
 酸素流量(L/分)  FiO2
1 24%
2 28%
3 32%
4 36%
5 40%

酸素濃度の計算式…20+4×〇L

 

酸素マスク

マスクの側孔、マスクと顔面の隙間から室内気が流入し、供給された純酸素と混合されたものが吸入酸素濃度になります。

【メリット】
・マスク自体がリザーバーの役割を果たすのでカヌラよりは吸入酸素濃度は高い
・鼻腔からでも口腔からでも酸素を体内に取り込むことができる

【デメリット】
・鼻と口を覆うため不快感を抱くことがある
・5L/分以下ではマスク内に呼気が溜まり、再呼吸になり期待されるFiO2が得られない

酸素マスクの酸素流量に対するFiO2の期待値
 酸素流量(L/分)  FiO2
5 40%
6 50%
7 60%

 

リザーバーマスク

流量が同じ場合はマスクよりも高い吸入酸素濃度が期待できます。リザーバー内には呼気時に酸素が貯留し、吸気時にそれを吸入することになります。リザーバーの虚脱防止に6L/分以上の流量が必要となります。

【メリット】
・高濃度の酸素を投与できる

【デメリット】
・高濃度酸素投与によるCO2ナルコーシスなどの危険性がある患者には注意
・長期の使用には適さない

カヌラの酸素流量に対するFiO2の期待値
 酸素流量(L/分)  FiO2
6 60%
7 70%
8 80%
9 90%
10 90%~

リザーバーマスクの構造

リザーバーマスクは、袋の中に、酸素ガスをためることができるため、吸入できる酸素ガスの量が増え、高濃度の吸入酸素濃度を得ることができます。

この時、リザーバ―内の酸素のみを吸入させるために、リザーバ―とマスクの間、マスクの左右の穴に一方弁がついています。一方弁のおかげで、ルームエアーや呼気が入り込まない高濃度酸素が吸入できる仕組みになっているます。

 

ベンチュリーマスク

通常の酸素投与量は最大15L/分までですが、酸素と空気を混ぜることで、酸素投与量が30L/分以上の流量を作ることができます。ベンチュリー効果とは、小さな出口から高圧の酸素を流してジェット流を作ると、ジェット流の周りが陰圧になります。ここから空気を引き込み酸素と空気を混合します。

【メリット】
・正確な吸入酸素濃度を大量に供給可能であり、患者の呼吸様式に左右されない
・正確な酸素濃度管理が必要な場合に適している

【デメリット】
・吸入濃度を変更するごとにプラグを変更しなければならない
・側孔なしのマスクや単純酸素マスクでは回路内圧が上昇する危険がある

 

オキシマスク(マルチパーパスマスク)

独自のディフューザー構造により、マスクを換えずに酸素流量の調節だけで、低濃度から高濃度までの酸素投与が可能です。オキシマスクの側面には大きな穴が開いているのが特徴。

【メリット】
・入院から退院まで1つの酸素マスクで対応でき、リスクとコストの削減
・開放的なデザインで圧迫感が少ない
・コミュニケーションもとりやすい
・マスクを着けたままでも内服や口腔ケアが可能

 

ハイホーネブライザー

40~98%の酸素濃度をすべて35L/分以上のハイフローで供給することができる高流量システムです。

【メリット】
・常に35L/分以上の流量を維持できる
・患者の呼吸パターンに左右されることなく、安定して設定した酸素濃度管理できる

【デメリット】
・高濃度酸素投与によるCO2ナルコーシスなどの危険性がある患者には注意

 

ネーザルハイフロー

ネーザルハイフローは、鼻カニューラにより30~60L/分の高流量の酸素ガスを供給する酸素療法です。

【メリット】
・一定の吸入酸素濃度に設定できる
・高流量の酸素ガスを流すため呼気の再吸入がない
・高流量のガスを流すので口を閉じて吸入すると軽度のPEEP効果が期待できる
・会話・食事が可能
・加湿できるため鼻が乾燥しない

【デメリット】
・高濃度酸素投与によるCO2ナルコーシスなどの危険性がある患者には注意

ネーザルハイフローでも改善がなければNPPVへの移行も必要

 

酸素療法の使い分けが知りたい

酸素量といっても上記のように多くの種類があり、それぞれに特徴があることが分かります。どんな種類のものがあるのか把握することはまず基礎です。そして、その次は酸素療法が必要になった時にどの酸素療法を選択するかですね。

COPDなどの呼吸器疾患がない場合の第一選択

鼻カニューレを選択。一番患者さんに負担がなく比較的装着しやすいのがカヌラです。そのため、SPO2の低下が著明でなければ、まずは鼻カニューレでいいでしょう。

 

鼻カニューレで4ℓ以上必要になった

ここは迷いどころ。鼻カニューレは、6ℓまで使用できるとはされていますが、酸素量があがれば鼻にかかる不快感は大きくなってきます。そのため、臨床的には4ℓまでとされていることも多いです。なので、カヌラで4ℓ以上必要になった時は酸素マスクに切り替えましょう。

 

口呼吸の場合

口呼吸の場合は鼻カニューレでは効果は期待できません。その場合は酸素マスクを選択します。しかし、5ℓ以下の場合は酸素マスクは適さないので、オキシマスクやマルチパーパスマスクを選択した方がいいでしょう。

 

既往歴にCOPDなど呼吸器疾患がある

呼吸器疾患があれば、高流量の酸素を流してしまうとCO2ナルコーシスの危険性が高まります。その時は、ベンチュリーマスクやカヌラを選択しましょう。

ベンチュリーマスクのFiO2は24、28、31、35、40、50%です。鼻カニューレのFiO2をみてもらえれば分かりますが、3ℓでは32%となっています。鼻カニューレで2ℓ以上投与する時はベンチュリーマスクに変えた方がいいでしょう。

 

低酸素が著しい

酸素マスクやカニューレでSPO2が上昇しない場合は、リザーバーマスクかベンチュリーマスクを選択しましょう。CO2ナルコーシスになりやすい人にはベンチュリーマスクを、それ以外であればリザーバーマスクを選択します。

それでもSPO2が上昇しない場合は、ハイホーネブライザーやネーザルハイフロー、NPPVの使用を検討せねばならないので、医師の指示を仰ぎましょう。病院にもよると思いますが、リザーバーマスクやベンチュリーマスクまでなら看護師で選択してよいと思います。私が働いていた病院ではそうでした。そして、ベンチュリーマスクやリザーバーマスクでも改善がない場合、医師に動脈血ガス測定を依頼したりと医師の指示に従い、酸素療法を選択していました。

 

加湿は必要?

鼻カニューレがいい例ですが、酸素投与をしているとどうしても乾燥しがちです。そこで、加湿はしたほうがいいのかという疑問が浮かびます。

日本呼吸器学会・日本呼吸管理学会の酸素療法ガイドラインでは「鼻カニュラでは3L/分まで、ベンチュリーマスクでは酸素流量に関係なく酸素濃度40%まではあえて酸素を加湿する必要はない」としています。

この理由は、1回の酸素吸入量よりも、鼻から吸う室内の空気の量のほうが多いためです。鼻には天然の加湿器があるので、投与する酸素を加湿するよりも、室内の湿度を高めたほうが効果的といえます。

 

まとめ

酸素療法といってもいろんな種類があります。それぞれの特徴を知り、その場に応じて適切に選択していく必要があります。特にCOPDなど呼吸不全の患者への酸素投与は慎重にせねばなりません。場合によってはNPPVや気管挿管も必要になってきます。これらもきちんと勉強しておきましょう。

 

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新卒から看護師として働いており、仕事も楽しく一生看護師として全うしようと思っていました。しかし、ある出会いで副業について知ることになりました。そして、一生看護師として働くことに疑問を持ってしまい、今は看護師休憩中。働いていた中での看護師の知識をはじめ、美容や健康など働く社会人に役立つ情報を発信します。

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